私は小さいころ、よく京都にいっていたらしい。
断片的な思い出しかないのだが。
母方の伯母が、京都のあるお寺に嫁いでいた。そこによく母と兄と行っていたらしいのだ。
京都のどのへんにあたるのか、まったく覚えていない。
大きな土間のような、足元の寒い台所、たくさんの畳の部屋、時々聞こえるお経。
日頃目にすることも口にすることもないような綺麗な和菓子。
伯母はその後住職だった旦那さんとは死別し、私の実家に一時いたが、今は東京に住んでいる。
再婚したがまた死別し、今は一人暮らしである。

この煙草入れは、京都に遊びに行ったとき、いただいたもの。
伯母にもらったのか、伯父にもらったのか、それは覚えていない。
後で、伯父のお父様にいただいたことがわかった。
全部木でできていて、模様も、色の違う木を組み合わせたものである。

私は煙草は吸わない。
だから普段使うことはまず、ない。

使い方は、まず絵のある部分の蓋を横にずらす。
そして煙草を入れる。
出すときは、蓋のところを上に上げる。
そして下ろす。
すると煙草が一本だけ現れる。
小さいころはこれが面白くて、父の煙草を借りては煙草を入れて、出して遊んでいた。

私は時代劇が好きで、いろんなのをよくみる。
昔の役者さんは粋な吸い方をしてるものだ。ほれぼれする時もある。
今ならば、鬼平役の中村吉右衛門、あの煙管の持ち方、吸い方、とてもよろしい。




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