一打ち二打ち三流れ、あれに聞こゆるは山鹿流陣太鼓の音!!
12月14日は赤穂浪士討ち入りの日である。
そして14日は江戸屋猫八の告別式だそうな。吉右衛門、行きたかったろうなぁ・・・。

今年四度目の歌舞伎は京都南座。
いつも一緒にいく美也子たんは行けないとのこと。
南座だと、松竹座と違ってかぶりつきの席は取れないから、私も半分諦めかけていたのだが、ある日演劇案内を見ていてびっくり。
仁左さまだけでなく吉右衛門も来るとな!!
吉右衛門といえば鬼平!生で鬼平を観れるなんて!!!!!

しかし顔見世&三津五郎襲名。するってぇと当然高い。
だけど仁左さま。吉。
ええい、今年最後の贅沢だ、行ってしまえ、行ってしまえーーーーーーーい!

席は、美也子たんのお母様のおかげで前から2列め中央が取れた。嬉しい嬉しい!こんなに前なんて!!嬉しい〜。
今回同行する友人Y、歌舞伎は二度目なんだそうな。最初に東京でみたのが理不尽な話だったそうで、それが面白い、と言っていた。
友人Yの母上様が踊りをされるとかで、機会があれば歌舞伎を観なさい、とYに言っているそう。日本舞踊かぁ、私もやってみたいなぁ。

年末が近づくにつれて忙しくなり、この垂れ目も吊り上りそうになるくらい、仕事が山積みになってくる。
今回は夜の部だから(今回初めて自分で決めたのよーーー)もし片付かなかったら午前中、仕事するしかない・・・と思っていた。
友人Yも多忙を極め、最初の一幕を諦めると言い出した。何言ってんのよ!最初の寺子屋が理不尽な話なのよ!!でも仕方ない。
できるだけ早く来るのよーーー!!

幸い、仕事もなんとか次週に回すことができ、朝から、家の片付けや準備をする。
火曜日、我が家の営業部長ウシが旅立った。2歳8ヶ月。堂々の大往生である。最後は病気にもならずハゲも治り、綺麗な姿で眠るように目を閉じた。
ケージの片付けをしなければならないのだが、どうしても触れず、この日やっと片付けた。
一回り小さいケージで暮らしている鈴をウシのケージに移し、トイレも片付ける。旅立ったとわかったときも悲しいが、ケージを片付けるときも悲しいものである。
しかし涙は厳禁。目がはれぼったくなってしまう、だめだめ、今日は歌舞伎なのよ!TVはずっと時代劇専門チャンネル。気分を盛り上げるのだ!

最近着付けも大分上手になったことだし、着物を着ていこうかと思ったが、何やかやと用事をしていると時間が迫ってきたので洋服でいくことにした。
京都の南座まで、我が家から一時間弱。二人分のお弁当を作り、一人暮らししているYのためにミカンも持って、ウキウキわくわく。京都は先月も行ったが、やっぱり嬉しい。京都は大好き。
南座に着くと、ちょうど入れ替えですぐに劇場に入れた。狭い!想像以上に狭く小さいところである。初めてなので、色々と観て回ったがすぐ終わる。仁左さまのチラシや、次回の公演案内をもらい、飲み物を買って席に戻ろうとしたら壁にいっぱい写真が貼ってあることに気がついた。
うおおおお、生写真だ!!これは買うしかありませぬ。2枚購入。くふふ、くふふふふ。番附は今回2000円也。これも購入。席に着くと、本当にほぼ中央で、2列目だがよく見えること。
席と席の間が本当に狭い。コートをかかえ、荷物を持ってるとなかなか通れない。まだ到着しないYの席にコートやお弁当をおいて、番附を観る。

そして始まる。灯落ち、柝鳴り響き 幕あがる。
毎回、はっとする瞬間である。

寺子屋は、四月のやっぱり三津五郎襲名公演で見た。源蔵は仁左さま、松王丸が三津五郎。下を向いてばかりの仁左さまばかり必死で目で追っていた中、うっとうしいくらい三津五郎と視線があったもんだ。
今回松王丸は吉。たーのーしーみーーー。
よだれくりも面白いけれど、子供たちも可愛らしい。
ああっ、仁左さま!!今回は前回ほど下を向いていない。最初から涙ぐんでいるが、でも、前回ほど、泣いていない。前回は紙で鼻を押さえるほど、泣いていたが、今回は涙がすうっと伝ったきり。(勿論本物の涙である。) 今回、前回と比べると細かいところがちょこちょこと違う。たとえばもろ肌脱いだ仁左さまが肌を入れるときも、前回と違う場所で、違う動作。毎回違うものなのかしら?
それにしても吉、顔、でかい。上半身全部顔、という印象である。ほんまにでかい。 ああああああ、鬼平さま!鬼平さま!どこかで「播磨屋!」と声がかかるが、私としては「鬼平!」とかけてもらいたいところ。
吉はうまい。台詞回しが、前回の三津五郎版松王丸とは全然違う。手の動かし方、首の回し方、うまいわー。松王丸が自分の子供のために泣きながら笑うところなど、私ももらい泣きしてしまった。泣きながら何度が鬼平さまと目があった。
仁左さまは相変わらず素敵。足が長い、腕が長い、指が長い、手が綺麗。すそが乱れるとつい目で追う私。もう何もかも素敵。
吉はうまいが、どうも、手が私の好みではない。厚ぼったくて、指先が丸く、短い。手は大きそうだが顔がでかすぎるから目立たないのか?だけど吉は私の大贔屓。もっと吉の舞台を観たい。
贔屓が二人いると舞台のあっちこっちを見なくてはいけないので大変だった。
確かに何度か仁左さまと視線があったように思うが、吉ほどではない。あああ、つれないのね。
前回、三津五郎の松王丸は、襟元が汗で流れた白粉で白くなっていたが、今回の吉の松王丸は白くなっていなかった。
三津五郎、汗かき?
休憩。20分。
周りがざわざわとし、あちこちでお弁当を開いている。あ、私も食べなくちゃ。Yはまだだが、もし時間なければ持って帰って食べてもらおう。
ぎんなんご飯、うまくできた、美味しい美味しい、と自画自賛しつつ食べ終わる。

番附をまた観ていたら、次が始まる。いよいよ口上。
三津五郎の、向かって右に鴈治郎がすわり、説明、紹介をする。
向かって右端に吉右衛門、左端が仁左さま。きーっ、観るのが大変じゃないのっ!首を左右に振り振り、双眼鏡を左右に振り振り。
もっと堅苦しいかと思ったら、結構プライベートな話にも触れて、なかなか面白い。役者さんも肩を震わせて笑いをこらえたり、三津五郎も苦笑していたり。
仁左さまは助六の思い出を、「私が若かったころ、・・・あ、今も若うございますが」なんて面白かった。
またしても鴈治郎と視線ががんがん合う。ちょうど正面だったせいか?それともまだ私に目の大きさ比べで挑戦してきてるのか?私も目をひんむいて応戦。まだまだ負けないぞ。
双眼鏡でのぞきこんだら、それでもはっきりと視線があった。双眼鏡、気になる?
翫雀さんがいる。ああっ、あんた、私を覚えてる?私の手をとって松竹座の舞台にあげてくれたわよねぇ、覚えてる?嬉しくて目があうとにっこり笑う私。あんた相変わらずまんまるだねぇ。

この次30分の休憩。
この時間に食べればよかったよーーー。
劇場の外に一旦出て、Yに電話。はよ来んかーーい!もう少しかかるというので化粧を直し、また劇場入り口で待ち伏せ。
Yが走りこんできた。席を教えて、飲み物を聞き、Yを席に向かわせ、飲み物を買って私も席に向かう。席につくと初めての南座にYはきょろきょろ。お弁当を開いて食べさせ、その間に寺子屋の理不尽な話や、口上の面白かったことを伝える。ああっ、ほんまに残念!一緒に観れなくて残念!
Yは私の作ったお弁当を美味しい、美味しいと全部たいらげてくれた。よしよし、えらいぞ。Yのコーヒーにミルクと砂糖をいれて、Yに渡す。Yってばいつも砂糖は2つなのに、今日は1つでいいんだってさ。せっかく私の砂糖あげようと思ったのに。

いよいよ助六が始まった。鴈治郎、綺麗わーーー。
助六が登場したが、花道で踊ってばかり。2階、3階からみな乗り出してみていた。
私、どうも、三津五郎は贔屓ではないので、首をまわして花道を見るのは途中で止めた。足が短い、肩幅狭い。腕短い。どうも私の好みではない。それに比べて仁左さまは、足長い、腕長い、肩幅広い、手が綺麗、指が長い。やぁっぱり仁左さまよねぇ、今度はどんなお姿かしら。などと微動だにしない左團次や鴈治郎を眺めつつ想像して楽しんでいた。
舞台にあがっても三津五郎のための拍手にはどうも身が入らない私である。
仁左さま登場!拍手、拍手っ!14日の夜の部で、一番最後まで拍手していたのが私ですぅ!仁左さまぁ!着物の前を手で押さえ、風呂場で振られたと文句を言う。ああ、私がおせなを流してさしあげるのにっ。助六三津五郎と並ぶと身長、肩幅、足の長さで仁左さまの勝ち!不細工な助六である。ワイドショーで観る三津五郎は嫌いではないが、仁左さまを差し置いて男前の役をやるのはどうも許せん。鼻の穴に屋形船をつっこむだぁ?アタシが突っ込んでやるわよ!
次にまんまる翫雀さんが出てきてまたしても助六三津五郎にやられる。きぃっ、あんたっ、三津五郎に負けてどうすんのっ。 仁左さま、着物をはおって再登場。ああ、縞の着物の、着流しの、なんとお似合いになること。私もあんな着物着たいわー。
あっという間に仁左さま退場。また出るかと思ったけどたったあれだけ。あれだけ?あれだけなの?あれで今年は仁左さまとお別れなの!?物足りないーーー。仁左さまもう一度出てきて三津五郎をメッタメタのギッタギタにやっつけてやってーーーー!!
番附をみると「ぢぃさんばぁさん」ではほぼ出ずっぱり。吉を諦めて昼の部にすればよかったかなー。いやでも口上は見ときたいしなー。うむ、仕方ない。

この後も助六三津五郎はいまいち。汗で流れた白粉で襟元は白くなっていた。汗かきなのだな。私は鴈治郎が出れば鴈治郎ばかり観ていた。
仁左さまの助六が見たいわ、アタシ。

短い休憩があって最後は踊りがメインである。
孝太郎がいる、進之助がいる、私の機嫌はちょっぴり直った。翫雀さんもいる、ああ、あんたは本当にまんまるだねぇ。愛之助は以前は割りと好きだったが、なぜか今回はあまり目がいかなかった。菊之助、まるっきり目がいかない。やっぱりあたしゃ父ちゃんの菊五郎のほうがずっとずっと好きだよ。

舞台が終わり、京都を後にする。
ああ面白かった。半分だけ観たYも大満足の様子。面白かったねぇ、面白かったねぇ。
来年はどれだけ行けるかねぇ。新春寿は仁左さま、松竹座に来ないしねぇ。どうするかねぇ。
面白かった、面白かった。
チケット取ってくださった美也子たんのお母様、ありがとうございました。

来年も仁左さまいっぱい観るぞーーー!!!!



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