8年程前に、そこで桜貝を拾ったのが始まり。
大阪に転勤して初めての冬で、季節と同じく冬を迎えた会社に不安、自分の能力に不安、 かといってその同行者と結婚に踏み切るには早すぎる様な気がして、何を考えてもため息ばかりついてた頃だった。 何ヶ月かぶりに会う同行者はこの小旅行をとても楽しんでるらしく、笑顔がとても明るかったのを覚えている。 イベント時期を一緒に過ごすのに、私は全然盛り上がってなくて申し訳なく思ったのも覚えている。 偶然にこの浜に着いたのだが、サーフィンをしてる人がいたので同行者は大喜びで車を停めた。 同行者はかつて私と同時にウインドサーフィンを始めたからだ。私はじきに止めてしまったが。 海はとても青かった。一緒に車を降りたのだけど、私は話をするのが億劫で、足元に散らばっていた貝を拾っていた。 今に比べると、桜貝はずっとたくさんあったように思う。拾い出すと面白くなってきて、桜貝ばかり選って拾った。

完全な形を留めているのは殆どなくて、カケラばかりである。
どうして集めているんだろう?
それから何度もその浜へゆき、また拾ってくる。
車で4〜5時間かかる場所である。夫はドライブが好きなので助かるが、日帰りだとそれだけのために行くわけにもいかず、あまりゆっくりできない。
今年は近くで泊る予定だった。最初から寄る計画ではなかったのだけれど、チェックインまで2時間ばかり時間が余ってしまったので迷わずそこへ向かったのだ。サーフィンをしてる人が結構いた。

一時、琴を習ってたことがある。
きちんと月謝を払って習っていたのではなくて、遊びで教えてもらってたのだけれど、面白かった。私はどうも弦楽器に縁があるらしい。 その時何かで読んだ本の中に、琴爪を桜貝で作る、というくだりがあった。あんな薄い桜貝で?と驚いたのを覚えている。どうやって作るのだろう?何重にも重ねて作るのだろうか?こんなに脆い桜貝でどうやって?
今集めているからといって、琴爪を作ろうとは思わないけれど、いつまでも忘れられない。

さてこれをどうしよう?

アクリルの透明な箱を買ってきて、それに透明のマニキュアで塗り込めていこうかな。後でアクリルの箱をとれば、桜貝の箱ができる。 うまくいくかな。小さな箱でもかなり桜貝が必要になる。まだまだ足りない。
私は箱が好きだ。丸より楕円より四角い箱がいい。
ランプシェードを作ろうか。これまた足りない。作れたとしても、埃を払うのが恐ろしい。使えない。使えなければいやだ。

もう一つ、何故集めているんだろう?というものに、ワインのコルクがある。
どうして集めているんだろう。何に使うんだろう。これはもう少し歴史が長い。17歳くらいから集めだしている。箸置きを一つ作ってみたことがあるが、どうも使う気になれず、ただ、集めている。店で飲んでももれなく「これ持って帰っていいですか?」とやってしまう。仕事先で飲んでふわふわした気分になっても殆どコルクを握り締めてちゃんと持って帰れるようにしている。そこまでして、どうするんだろう?バケツ一杯分くらい集まっているコルク。
これ、どうしよう。

学生時代や、就職してしばらくは、マッチと箸袋も集めていた。マッチは玄関の箱にどかどか放り込むだけだけれど、箸袋は、アルバムにきちんと貼っていた。ヒマだったんだろうか。今見ても誰とどこへいった時のものか、よくわかる。私は煙草喫みではないし、マッチを集めても使いみちがないのでやめた。箸袋も、アルバムのページが無くなって、新しく買いにいかなくちゃ、と思ううちに、やめた。

何故か集めている桜貝とコルク。
何かいい使いみち、ありません?



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