私は本を読むのが好きだ。両親が読書好きということもあって、小さい頃から、本だけはよく買ってもらった。
本にカバーをつけだしたのは一人暮らしを始めた頃からである。
部屋が狭く、小さな棚の本も題名が丸出しだった。狭くごちゃごちゃした部屋を少しでもスッキリ見せたかったからカバーをつけて誤魔化す。
私は同じ本を何度も読む。歩くのはかなり遅いが読むのはかなり速い。面白ければ読んですぐもう一度最初から読むこともある。ページを折ることは絶対しないし、極力汚したりはしないけれど、本は長く大事にしたいからカバーをつける。
学生の頃から古本屋は大好きである。お金がないせいもあるけれど、本屋さんでは見かけない本もあって、古本屋にいくと時間を忘れた。古本屋で買う本は綺麗とは限らない。できるだけ綺麗な本を選ぶけれど、時には汚れた本、装丁が破れかけた本も買った。これ以上いためないようにカバーをつける。
絵を額に入れる時嬉しいという人がいるが、私は本にカバーをつける時、とても嬉しい。

自分の手持ちの本すべてにはまだつけていないが、半分以上は裏側がビニールコーティングされたカバーをつけている。おかげで装丁も、いつまでも綺麗である。
が、困ったこともある。カバーをつけていると、題名がすぐわからないため読みたい時にすっと出てこない。カバーの模様も色々あって、最初は本のイメージに合ったカバーを選んでいたが本が増えてカバーも増えてくると、手当たり次第に手に入ったカバーをつけていくため最近はどれがどれやらわからない。本棚も作者順に50音で一応並べてはいるが、さてその50音の中でハタと迷うのだ。1冊1冊手にとって本を開いて探すのだ。

たまに人から本を借りることがある。滅多にないが、借りた本に必ず付けるカバーがこれである。これはある人にいただいた。実は結構腕力のある女性である。得意技の強烈な右ストレートをくらうと、意識を失うという話がとあるところで出た。声がすごく綺麗で、お顔も勿論綺麗な、とても素敵な人だ。そういう女性である。とてもセンスのある人で、このひとにいただいたものはすべて私の大事な大事な宝物である。・・・カメのツボ押しをのぞいて。大事にはするけれども。だけど。でも。

このカバーは革。柔らかく、手ざわりがとてもいい。本の面白さだけでなく、これをつけた本を読んでいる時、すごく贅沢な気持ちになる。とても豊かな気持ちになる。私は、繰り返し、繰り返し、贈り物をもらってるのだ。おやびん、ありがと。うひっ。

さて、私はどんなお返しをしたらいいんだろう?



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