到着〜。
緞帳。





2年半ぶりの歌舞伎。2年半ぶりの仁左様。
いろんな事情とかいろんな理由で離れてた歌舞伎に久しぶりに行ってまいりました。 2年半ぶりとあってチケット事情も変わり、今回はとある人に頼んで菊五郎筋からかぶりつきをGET。
2001年など1年に4回も芝居見物をしている。全部仁左様の関西での舞台とはいえ、ほとんどかぶりつきに 近い席ばかりで、なんという暴挙。もうあんなことできない。 そしていくら贔屓とはいえ日本中の舞台におっかけは私には出来ない(TT)。私がいけるのは 大阪の松竹座、京都の南座限定なのである。
そして仁左様が目当てとはいえ、演目も大事。今回は藤十郎の政岡も見たくて昼間の公演。 今年も関西歌舞伎を愛する会の例のおじさまがいた。もう色紙はない。仁左様のは持ってるから いいけど秀太郎のもほしいと思ってたんだけどな。まあいいや。番附を買って 舞台とともに買い損ねていた藤十郎の手ぬぐいを買い、春に母に猫の手ぬぐいを奪われたので代わりに しようと思ってお気に入りの作家の猫の手ぬぐいも買って席につく。ああかぶりつき。 やっぱり私はかぶりつきが好き。

灯落ち、柝鳴り響き 幕あがる。

一幕目は「春調娘七種」。
孝太郎、菊之助、松禄。いや〜、初めて、本当に初めて菊之助を綺麗と思いました。本当に初めて。 周りの二人のせいか?うーんそうかも。だからといって見つめっぱなしになるほどではない。 3人とも何度も目があったけれど全然まったくちっとも嬉しくない。 相変わらず見たいものを選ぶ私はここでも柝をうつ人を眺めまくり。 かぶりつきで舞台を見ず真横を見ている私は相当に失礼かもしれない。 でもかまっちゃいられない。この幕では役者よりこの人よ!!
本当にもう、なんてすばらしい音。2年半ぶり、その前も1年半ぶり。その時も お年を考えるとあとどれくらい舞台をつとめられるだろうと心配していたけれど、今回もお姿拝見、 素晴らしい音をきけて感激。いついつまでもご息災で舞台をつとめてくださいませ。

二幕目は「木村長門守」。
アンパンマン我當が出てる。左団次が出てる。可もなく不可もなし、流すわけではないが 安心してゆっくり見られる演目である。しかしワタクシ、この舞台の途中からまた発熱。 あかんわ最近・・・と思いつつ、柝をうつ人を眺めつつ、番附読みつつ、のど飴なめつつ。 この日私は実はとんでもないスリットのスカートをはいていたので国立博物館限定のお気に入りの 黒い手ぬぐいを広げていたのだが、これがずり落ちないよう気を遣いつつ。

幕のあとお昼。暖かいお茶を買いに行くときついでに生写真を見た。うーん。ほしいカットがない。 熱のせい?うーん。関西歌舞伎を愛する会のあのおじさまと少し立ち話をして、席に戻る。 お昼をいただいてもう歩き回る元気もなくそのまま化粧も直さず仁左様の幕。ああバチあたりの私。
いよいよ三幕目。「伽羅先代萩」。
前から見てみたいと思ってた演目。夜の「熊谷陣谷」とどちらにするか悩みに悩んだが 藤十郎の政岡のためにこちらにした。ここでは藤十郎、菊五郎、秀太郎も出る。なんてステキ。 藤十郎と秀太郎は最初見たときよりも、回数重ねるごとにどんどん目が離せなくなってきた 役者さん達。菊五郎あわせて3人、そろった舞台はとても楽しみにしていた。 序の幕に再度菊之助。これまた、まぁ、ヨシといった感じ。あまり贔屓ではないけど愛之助も出てる。 悪くはないけど、足が短いねぇ、愛之助。

もう動く元気はない。幕間も動かず席に座ったまま。これから仁左様だというのに。
まずは八汐。女姿の仁左様、私はTVでみた俳優座の出し物以外では初めてかも?最後の笑いが ちょっと怖かった。なんとなく、悪役を楽しんでやってる感じ。肌をいれるシーンは まったくもってこの人ピカイチ。私もこんなに粋に羽織などに肌をいれられたら。 秀太郎の栄御前は、悪くはないけれど、おっちょこちょいな意味合いをもった役で、 悪くはないけれど、秀太郎にはもっと怖い役やってほしい。でも好き。出番、短すぎ!!! この場には魁春、孝太郎も出ているが、まったく目はいかなかった。そしてこの辺りからもう あの柝をうつ人にもまったく目がいかない。松禄、見るわけがない。 そして、藤十郎の政岡。花道を何度も通って確認した後、殺された我が子に、やっと近寄るシーンでは さすが藤十郎。この沈黙の間のすごさ。おやびんがいたら大絶賛だろうなぁ・・・・と 私もちょっと、じーんとする。でも好みでいくと、藤十郎は可愛い役が一番好きかも。 歌舞伎で我が子が殺されるという演目は私はこれで3つ目。どうしてこんな理不尽な。 見るにはちょっとつらいけど、仁左様と秀太郎が組むなら権太を、関西弁ばりばりの 権太をもう一度、見たいな。
仁木弾正の仁左様、やっぱり男姿のほうがずっとよろしい。広い肩、長い腕、長い足、 長いすっきりした指。あの親指は大変によろしい。ほんに姿のよいひとである。 今回徹底した悪役だけど、それでもいい。菊五郎のまっとうな侍姿も初めてみたが、 悪くは無いが、不満がないこともないけど、やっぱり口吻のいい人である。やっぱりうまい。 弾正をぽんぽんやり込めるシーンなど、遠山の金さんをやらせてみたいと思ってしまうほどである。 それにはちょっと年とりすぎか?ちょっと身体が小さいか?
今回仁左様、かなり元気よく動いていた。身体も以前見たときよりもしっかりしてる感じ。 お顔のシワは増えたようにも思うけれど、本当にもう、なんて元気な60代。 私の仕事先で考えるとMSのベテランクラスになるわけだけど、その人達もある意味大変 お元気揃いではあるけれど、もっとお元気なように思える。もっと早くに生まれて、 もっと早くからこの人の舞台を見たかったな、私。

舞台がはねた後は熱もあるのですぐに帰った。天神さんのお祭りの日だったので、浴衣姿の 女の子がたくさんいた。私も浴衣でお祭りにでも行きたいな。浴衣、しばらく着てないな。

粋で凄みのある秀太郎を見たい。美しくてため息が出るほどうっとりさせてくれるような役の 仁様も見たい。涙、涙の藤十郎のお初をもう一度見たい、又五郎の歩く姿も見たい、 色っぽい菊五郎を見たい、弥十郎も見たい、吉も見たい、富十郎見たい、可愛い役の雀右衛門も 見たい、翫雀見たい、福助もしばらく見てない、見たい、・・・きりがない。 まだまだ、もっともっと、歌舞伎、見たい。



かぶりつき。&つま先。


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