1年ぶりの仁左様。半年ぶりの松竹座。
やっと仁左様が来たというのに折悪く海老蔵の襲名も重なり、値段は上がるわかぶりつきは取れないわ番附は高いわ。
ったく。何が海老蔵だ。
若造に用のない私はブツブツ言いながらもやっぱり仁左様に会えるのが嬉しくて暑い中松竹座へ向かった。
それにしても毎日暑い。
席は5列目である。
十分贅沢な席であることは重々承知しているのだけれど、かぶりつきが好きなのよー、まん前で観たいのよー、私と舞台の間に誰か
入るのがいやなのよーーーーーーーー。
でもやっぱり、十分、前である。
舞台がかぶりつきとは全然ちがう雰囲気。全体をぱっと見渡せるというかなんというか・・・。
5列めあたりを狙う人が多いというのもうなづける。
4時過ぎ松竹座について、番附を買って席につく。5列目、18番。初めて座る席である。私の定位置というかホームポジションというか、1列目11番前後は空いている。誰も座らんなら私が座る!といいたくても言えない。おとなしく自分の席に座った。右隣は感じの良いおばさま。左隣は体格のすこぶるよろしいおじ様。
番附を広げ、オペラグラスを取り出して用意していると幕があがった。
一幕目は鴈治郎である。
あっという間の短い幕だった。鴈治郎、ずいぶん抑えてる感じ。来年にむけて体力温存か?と思うくらいおとなしめだった。
我當も相変わらずのアンパンマンだけどよろしい。
翫雀、よろしい。すこぶるよろしい。声もはっきりしててやっぱりよろしい。ずんぐりむっくりした体型だけど贔屓である。
時蔵も情けない秀頼役でイマイチだけど、嫌いではない役者さんだから嬉しい。今度は粋な姐さん姿を見たいもんである。
可もなく不可もなく、という幕だった。
あー今回は秀太郎に会えなくて残念。まったく残念。
休憩になったのでロビーにおりて写真を購入することにした。昼間の俊寛は以前見たし、あまり美しい役ではないので夜の富樫と日本駄右衛門の写真を選び、注文だけしてロビーをふらふら。海老蔵が団十郎とヴィトンに注文して作らせたトランク型ドレッサー(鏡台というべき?)が飾ってあった。ふぅーん。注文時のフランスでの写真もある。海老蔵も、団十郎と並ぶと体格いいねぇ、と思わないでもないけどフランス人と並んだ海老蔵はちっちゃい日本人だった。団十郎はやっぱり誰よりも顔がでかい。
手拭いを買おうか買うまいか悩む。「関西歌舞伎を愛する会」の出展もあった。いつもどおりサインと番附である。
探してる番附もないし、サインも去年買ったし・・・と思いつつとりあえず覗いてみる。
「関西歌舞伎を愛する会」にはとても恩があるので何か買いたいと思ったのだけど、秀太郎のサインもないし、欲しい番附もないし、席に戻った。
まだ時間があったので買ってきたお水飲んで1つだけパンを食べた。
二幕目、いよいよ仁左様である。
のっけから登場、あああ仁左様、仁左様!
夢中で拍手する。少しお痩せになった感じ。声もあまり通っていない。まだ体調がお悪いのだろうか。
団十郎の代役もしていて毎日大変なのだろう。
気がつけば多少空いていたかぶりつきの席も埋まっていた。
富樫の役は、きりっとした役でとてもステキ。と思ってたら海老蔵が出てきた。あらー。拍手、思ったより少ない。ええ、少ない。
義経役が鴈治郎なのが笑えて笑えて・・・ぷぷぷ。まぁ動かない、じっとした役だけど。
海老蔵、うーん、うるさい。声でかすぎ。若いから?染五郎タイプかな。私には暑苦しい。長い台詞も全て覚えこんで練習に入る、と番附に書いてあったけど聞き苦しい喋り方が多かった。歌舞伎の台詞ってもっと流れるように発音するものではないのか?息が切れてるのか?へんなところで息継ぎしてるのか?なんとも聞き苦しいところが多かった。
ところで左隣のおじ様であるが、私とオペラグラスで覗くタイミングがとてもよく似ている。そしてとてもよく声をかける。私は声をかける人はそれなりの仕事の人かと思っていたがどう見ても素人さんなおじ様、よほど歌舞伎が好きなのだろう。オペラグラスで覗き込むタイミングが同じなのはなんとなく嬉しい。
次の休憩になり、席で残りのパンを食べ、お水を飲む。
右隣のおばさまのお箸が割りにくそうだったので「割りましょうか?」と声をかけて受け取ると、なんと割れ目の入ってない割り箸だった。
これでは割れない。でも外で購入したお弁当らしく、仕方ないので二つに折って食べてらした。
そこからお喋りが始まる。いつも歌舞伎に来てるのか、誰が贔屓なのか。私らの年代ではとても知らないような事を色々教えてもらえるのでこういうお喋りは大歓迎である。ひとしきり食べて喋って、ロビーに出た。写真を受け取って、海老蔵の手拭を購入。値段が一番安かったのだ。先日買ったバーバラ・アイガンの器をしまうとき使おうっと。
席に戻ると今度は左隣のおじ様が話しかけてきた。我當と同い年で、誕生日も一日違いだそう。仁左様もよいけど秀太郎が大好きですと言うと嬉しそうに色々と教えてくださった。私は1人で座ってて可哀想光線を発してるわけではないのだが最近はこういうのも楽しみになってきた。
そして三幕目。ここでは菊五郎が出る。
菊五郎ってこんなに小柄だったか?なんだか意外・・・・。もっと大きいイメージがあったんだけど。
「しらざぁ言って聞かせやしょう」がきけて嬉しい〜。そして柝をうつ人をたっぷり見る。やっぱりいいわ〜。
本当にすごい。どんな音も出せる。テーピングだらけのごつい手。何度か目があった。そりゃそうだよね、みんな花道見てるのに私だけ反対方向見てるんだもんね。へんなヤツっていい加減覚えられたかも。(^^;;
でもでも、仁左様の次に贔屓である。
段四郎、かなり息切れしていた。最後5人揃ったところでは傘を持つ手がぷるぷる震えていた。
菊之助、やっぱりあんたは女形の人だねぇ。こりゃアカン。けど隣のおじ様に言わせると親子関係でゴロあわせだから、まぁいいか。
ああそれにしても仁左様のなんと姿のよいこと。すっきりした肩、長い腕。長い足。
なんて立ち姿の綺麗な人なんだろう。なんて絵になる人なんだろう。
私の席はちょうど日本駄右衛門の正面で、たっぷりお顔を拝ませてもらった。いい席だわーー。
5人揃ってしばらくして、真ん中が海老蔵だと気がついた。存在感うすーーーーい。(^^;;;
そうそう、何故、海老蔵がイマイチなのかこのときわかった。この人、手があまり綺麗ではない。全然すっきりしていない。
丸まっこいとまでは言わないけれど、全然きりっとした手ではない。どれだけ見得を切ったところで決まらないのはコレが原因か?
あくまでも私にとって、だけど。そりゃ今後も贔屓にはなりそうもないわなぁ。
舞台が終り、両隣に挨拶してロビーにおりた。入り口近くに仁左様の奥様が立ってらして、隣に女の人もいた。
奥様はさすが元粋筋の人だけあって、なんともいえない雰囲気の人である。いいなぁ。綺麗だなぁ。
舞台がハネた後夫が車で寄ってくれるというのでとある場所で待っていた。友人にメールしながらぼーっと待っていると、少し離れたところに止った車に着物姿の女性が急いで乗り込んだ。あれはさっきみた仁左様の奥様では?そしてその車のトランクに女性が荷物を積み込んでいた。さっき仁左様の奥様の隣に立っていた女性では?とするとこの車には仁左様が乗っているのか?ホテルに戻られる仁左様か?もう少し早く気付いていれば、私服姿の仁左様も拝めたのに〜〜〜。車種にうとい私は黒っぽい車としかわからなかった。
私服姿の仁左様が拝めなくてとても残念である・・・。
美也子たん&美也子たんのお母様、立ち姿の仁左様を正面から見られてとても良い席でした。ありがとうございました。
|