2004.01.23...番附と写真。



今年お初の歌舞伎は大阪松竹座。
悩みに悩んだ末諦めた去年12月の京都南座の分もめいっぱい楽しんでリベンジだ!
そして今回は1人ではない。なんとなんと、東京からお客様。知る人は皆ストレートパンチに恐れをなすおやびん様である。
おやびんと行けるなんて幸せ〜。いろーーーんな事を教えてもらうのだ!

23日朝待ち合わせ。
私は前以て、着物で行くことはお知らせしていた。
朝急いで結んだ帯はちょっと失敗したので、予定していた着物用コートではなく羽織にする。
松竹座に到着して驚いた!おやびんも着物だった!わーーお!
すっごくステキ!黒い地の着物、道行、ショールで大きなカールの髪もすっごくステキ!
おやびんはとてもおみ足が長い。とてもすっきり、かっこいい。
はぁ〜、いるんですねぇ、何をしてもサマになってかっこいい人って。
おやびんと一緒に着物で街を歩けるなんて、歌舞伎に行けるなんて、今年はよい年になりそうだぁ!

松竹座はおやびんは初めて。
私は美也子たんに、松竹座のこと、歌舞伎のこと、たくさんたくさん教えてもらいました。でも今回はそれら教えてもらったことをちょっと偉そうに説明しながら中に入る。
食事は中のレストランで、と前以て約束してたので松竹座に入る前に選んで注文し、先にお金を払うシステムに従う。
一階の大きな絵に感心しながら二階にあがり、売店で番附を買い、三階に上がる。エスカレーターがある!と驚くおやびん。
三階に飾ってあるお七の絵が気に入ったおやびんでした。
番附も豪華だ、カラーだ、としきりに感心してるけれど、大体回数が違いますがな。大阪松竹座で歌舞伎をするのは年に2〜3回なんですぞ。ほーんと、少ないもの。それだけ気合も入るっちゅうもんなのです。

席に着くと道行を綺麗に畳んでひざにおくおやびん。私は羽織+パシュミナなので適当にパシュミナを畳み、カバンにかけて前に置く。かぶりつきだから前に何を置いても安心。これもかぶりつきのいいところ。前の席の人を気にしなくてもいいんだもんねー。そしてこの舞台に私はあがったのよと2年も前のことを自慢してしまう私。うはは。
番附をそれぞれ見てると舞台は始まりました。

一幕めは「南総里見八犬伝」。
これは30分の短い幕だった。おまけに、舞台の最前列に水のつもりか、幕がぞろりと張ってあって、舞台が見難いことこの上ない。まったく、なっとらん。前列の人間は見るなってか?てやんでぃ。(最後は戦う二人が川の流れに落ちてしまうという話だったのでまぁ仕方ないと思ってたけれど結局ザッパーンと落ちることもなく上に上がってしまった。なんのための幕やーアホー)幕の上では一段舞台を高くして八犬士のうち二人が戦っている。水のつもりだと思ってたのだけど後日おやびんから「天守閣での決闘の時の半幕は、あれ川じゃあないでちよん。雲とか空とかの意味で、高いところを表現する歌舞伎でのお約束の幕なんでちよん。天守閣が高いってことを言いたいんでちね。」と教えていただきました。みゅー、なるほど〜。おやびん、ありがとうございました。さすがおやびんでござる〜。戦ってるのは梅玉と扇雀なのだがどちらもあんまり贔屓ではないので前回から大ファンになってしまった袖の人に視線は釘付け。今回はテーピングはしてらっしゃらなかったが素晴らしい音を披露してくれた。袖に入ったとき「ヤレヤレ」とばかりに腰を軽くたたく姿もなんだかいい。と、私がこないだから書き散らしてるもんだからおやびんはずっと不思議に思ってたらしい。この柝を打ち鳴らす人は東京の舞台では観客からはまるきり見えないらしい。ここ松竹座では顔から姿から打ち鳴らす手から全て丸見えなので本当に驚いてらした。でもすごいでしょう、素晴らしいでしょう、おやびん。この人だけ見に来ても私は全然惜しくないくらい、この人はすごいと思うのです。

このあと30分の休憩。食事だ、食事だ〜。 レストランは地下2階にある。急いで降りてみるとテーブルに料理がセットしてあり、品数もたくさんあり、私もおやびんも「すごーい、いっぱいあるーぅ」と叫びつつ食べ始める。どれも美味しい。そして値段もそう高くない。もっともっと高いかと思ってたのに、おやびんももっと感心する。「さすが大阪、何もかも安い!!食堂も広い!美味しい!」。と大絶賛。
品数も多く量もしっかりあって、とてもじゃないが全部食べきれない。隣を見ると綺麗に平らげている。す、すごい。結構喋りながらあの時間で全部食べたのか!?
たくさんおしゃべりしながら、さっきの幕の話をしながら食べるが、気がつくと周りにあまり人がいない。・・・あれぇ?まだ5分くらいはあるよねぇ、と上に上がるともう舞台は始まっていた。アイヤー!!

二幕めは「土蜘蛛」。
大ファンである中村吉右衛門である。ぐふふ。
最初はまたまた梅玉が出てくる。そして小さい男の子も。太刀持ちの子は小学四年生。子役としては結構年齢がいってるほう?しかしうまい。何がうまいってアナタ、歩き方。あの遠山の金さんばりの長い裃の袴なのに一度も少しもつんのめることなく綺麗に歩いてました。素晴らしい。姿勢もいいし座り方も綺麗だし、うんうん、これから贔屓にしてあげるよ。うんうん。 そして前ばかり見てたらいつの間にか花道に吉が。おおおおおおおお、でかい顔〜。「播磨屋!」と時々声がかかるが私はやっぱり「鬼平!」である。でかい顔、でかい顔。そして上手。やっぱりうまい。この人はすごい。声もすごいし踊りも迫力あるし本当にすごい。何度も目があい、嬉しくなる。蜘蛛の正体がばれて花道から逃げるとき蜘蛛に姿を戻す・・・という場面があるが、おやびんとも話したけれどありゃ蝙蝠だね。ま、それはよいのだが、場面変わって土蜘蛛の姿で現れた吉。黒い髪に茶色い髪がところどころ混じり、ひきずる髪の毛の長さ、顔一面茶色と黒のだんだらにしてるその姿は大樹。私の実家の猫だけど、でかいことでかいこと。8kgを越えた巨体(でもデブに見えないガタイの良い猫)で、吉も顔でかいしこのイメージだし、もう大樹が舞台を跳ね回ってるとしか思えない。(^^;;両方とも顔がでかいもんねぇ。
でも吉から目が離せない。ここでは柝を打ち鳴らす人は殆ど見ませんでした。いい音してるなとは思ったのですが吉から目が離せませんでした。

ここで25分の休憩。この休憩で写真を注文した。今回は秀太郎と吉。
秀太郎は最初はなんとも思わなかったけれど、何度も見るたび、どんどん引き込まれてゆく。鴈治郎と同じ。見ればみるほど上手だと思うしあの雰囲気に引き込まれてしまう。本当にすごい人だとしみじみ思う。しぐさや動きが、とてもとても綺麗な人だと思う。

三幕めは「封印切」。
おやびん贔屓の鴈治郎である。
鴈治郎は私が見た最初が白キツネならぬ白タヌキだったせいか、どうもイメージがいまひとつ私の好みではないのだけれど、この人も秀太郎と同じで見れば見るほど素晴らしいと思うようになった。最後の花道、鴈治郎と、舞台に残る秀太郎。私は秀太郎に注目してたのだけどおやびんは鴈治郎。そしてこのときの鴈治郎は一刻千金と言えるくらい素晴らしかったそうな。うぇーん、私にはまだその良さがわからないよーぅ。でも秀太郎もよかったのよーぅ。
この舞台、全体が大阪弁でテンポもよくあらすじもわかりやすい。申し訳ないがこの話では私は感情移入は出来ないけれど、私の好きなアンパンマン我當も出てる。今までで一番長い台詞の幕だったんじゃなかろか?>アンパンマン我當。これは富十郎がするはずの役だったらしい。ああそれにしても秀太郎、綺麗だったーぁ。立っても座っても、動いてもじっとしてても綺麗。ほんと、普通の女の人よりずーっと綺麗。おやびんは今回、翫雀をとても褒めていた。うまくなったと本当に何度も褒めていた。大ファンというわけではないが、私の手をとって舞台にあげてくれた翫雀、そして目があうたび愛想のよい顔をする翫雀、贔屓にしてるので私も嬉しい。

話は前後するが、私はかぶりつきでもオペラグラスを使う。必ず使って細かいところまで、着物の柄とか、かんざしの模様とか、掛け軸の文字(大抵読めないが)とか、仁左サマの毛穴だとか見るのが決まりなのだがこれを「オペラグラスの怪人」と呼ぶ人がいて、その人こそこの技を私に「やりなさい」と伝授してくださった人なのだ。そしてそれは他でもないおやびんであり、かつて鴈治郎の講演会でそれをやり、「最前列でオペラグラスで覗いてた人がいた」と鴈治郎に言わしめた当人なのである。
そこまで言わせたおやびんならば鴈治郎はきっと覚えているだろう。ならば二人並んでかぶりつきでオペラグラスで覗いたら鴈治郎、おーどろくぞーぉ、と思い立った私は「必ずオペラグラス持ってきてね!」とおやびんにお願いした。「歌右衛門の出ない舞台でそんなこたしたくないよー」といいつつもおやびんはちゃーんと持ってきてくれた。
私は去年、オペラグラスを新しく購入したが、それはおやびんとお揃いのもの。おやびんのは使い込まれたNikonのもので、以前お借りしたときすごくよく見えること、コンパクトなこと、形がすごくシンプルでとてつもなくかっこよかったことを覚えていて、いつか、同じものが欲しいと思っていたのだ。お値段は決して安くはなかったが、Nikonだし、おやびんとお揃いだし、勇気を出して買ったのだ。おやびんが持ってらっしゃるものはおやびんのお母様から譲られたもので、結構古いものだそうな。だからまったく同じものは今では買えない。そして私が買ったものは、同じシリーズではあったが、色が違った・・・。おやびんのはシルバーで私のは黒。同じシリーズといっても大きさや倍率などからモデルチェンジしたものだと思うのだが、色まではちゃんと覚えてなかったぁー。そうかー、シルバーだったかー。
私は秀太郎が出てきた時すかさず着物の柄を見ようとしてオペラグラスを使ったがおやびんにすぐどつかれた。「秀太郎怒ってるよ」。確かに秀太郎とオペラグラス越しに目があったが、怒ったの?怒ったの?ふぇーん。怒らないで秀太郎〜。着物の柄は細かい細かい銀杏のように見えました。(どつかれたところは痣になりました。イタイ)
しかしおやびんてば、嫌がるふりをしながら、場面が変わったとき、回り舞台が回った時などすかさず取り出し、掛け軸や壁の飾りを覗いていた。ふふふーん。ニヤリ。そして羽織落としの少し前、鴈治郎と翫雀が並んで座って正面を見たとき揃ってオペラグラスで覗いたのである。気付いたか?気付かなかったか?それははっきりわからない。でもきっと気付いたに違いない。びっくりしただろなー。私は大満足。ふふふーん。
ちなみにここでは柝を打ち鳴らす人は殆ど見なかった。舞台がメインでしたとも。

今回残念だったのは私が贔屓にしてる中村富十郎が出れなくなったこと。本当に残念〜。
それから半年以上仁左さまにお会いしていないこと。ああまた関西に来てぇー。松竹座に来てぇー。
しかし鴈治郎の奮闘により、おやびんに満足していただけてほっとしました。また機会があったら一緒に行ってねーおやびん。





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